問屋仕入れでうまくいく値引き交渉【個人でもできる交渉のポイント】

実践記

私の過去の経験から値引き交渉を成功させた事例を紹介します。

1.長く付き合う

この「長く付き合う」は当たり前のことですが、とても重要です。

取引を始めて間もない信用もできない人間に「いきなり安く」なんて売ってくれません。

※問屋にとって、仕入れて逃げられるのが一番のリスクです(「飛ぶ」と言われます)

値引き交渉のタイミング

1年、最低でも半年以上の付き合いを経て、問屋との取引がスムーズになってきた頃、相手にもこちらの「存在感」が増してきます。そうなってくると、電話をかけた時の相手の「声の張り」が違ってきます。

問屋さん
あっ、○○さん!どうもーいつもお世話様ですー!
という感じです。そういう
「信頼関係」を築いた頃に、満を持して値引き交渉をしてみましょう。

ぷぅ
6掛け(60%)から、いきなり10%減なんて無理です。2~3%、多くても5%程度がいいところだと思います。3%値引きでも十分大きな成果です。
一つの問屋から50~100万円仕入れるということはザラであり、何もしなくても3万円利益が増えることになるのですから。

2.月額○○万円以上買う

相手は「売上げ」を上げたいのです。企業は「利益」よりも、なぜか「売上げ」を一番最
初に見ます。実際、対外的には「売上げ」が前面に出ますからね。

※利益は経費などが差し引かれるのでよく分からなくなります。問屋からの「仕入額」が50万円、100万円と上がってくると、その問屋の営業の方は、社内で「鼻が高い」ということになります。つまり問屋の担当者にとっては、「6掛けで20万円仕入れてもらうよりも、5.5掛けで50万円仕
入れてもらう方が良い」ということです。

ぷぅ
これを使って、少し利益率が低い商品も発注書に含めて、

「今月は50万円分仕入れるので、5.5掛けにしてもらえないでしょうか?」と

交渉すると上手くいくことが多々あります。

3.メーカー直送

 この「メーカー直送」はとても値引き交渉しやすい手法です。問屋からメーカーに発注す
る際に、「指定ロット数」以上だと「メーカー直送」になります。つまり「メーカー」か
ら「あなたのところ」へ問屋を介さずに直送されるのです。問屋は「書類を書くだけ」で
、一番重労働な「納品作業」をしなくて済みます。この「書類を書くだけ」で5%以上儲
かる、これが問屋にとっては一番嬉しいことです。せどりの無在庫転売に似ていますね。
無在庫転売には納品作業が必要ですが、この「メーカー直送」は「書類を書くだけ」で儲
かります。問屋との取引が進み始めたら、ぜひ「メーカー直送ロット」を聞き出し、「指
定数以上仕入れるので掛率を安くしてくれませんか?」と交渉してみましょう。これは案
外簡単に、5%くらい値引いてくれることがあります。

しかしあくまで、「取引が順調に進み始めたら」です。

いきなり「金額交渉」の話を持ち出すのは、あまり印象の良いことではありません。

※指定ロット数は1メーカー「○万円以上」「○ケース以上」「○個以上」など条件があります。

4.1メーカー大量仕入れ

さらに値引いてもらうための次のステップ

「メーカー直送」は初期段階で値引き交渉をしやすい手法ですが、さらに値引いてもらう
ための次のステップは、「1メーカーで大量仕入れ」です。「1メーカーで月に○○万円以
上仕入れるので安くしてください」という言い方になります。

この「1メーカー大量仕入れ」は、「問屋」がメーカーに値引き交渉しやすいのです。

月に5個しか買わない問屋に対して、メーカーも掛率を落としません。月に100個も200個も買ってくれる問屋には、メーカーも安く売ることができます。これは、私たち小売りと問屋の関係に似ていますね。

ぷぅ
問屋自身がメーカーから5掛けで買っているものを4.5掛け、4掛けで買えるようになれば、
私たちも6掛けを5.5掛け、5掛けで買えるようになるということです。

5.競争させる

値引きを持ち掛けてみる

これは「奥の手」というか【最終手段】です。問屋との信頼関係が構築された後にできる
ものですが、せっかく構築した問屋との関係性が崩れる可能性もあります。「競争させる
」とは、「問屋」と「問屋」を競争させるということです。現状6掛けのA問屋に対して、
「新しいB問屋さんは5.5掛けって言ってるんですよね」という風に値引きを持ち掛けます
。A問屋との関係が長く続き「無視できない存在」になったあなたが、「じゃあ、サヨナ
ラ」と言われることはありません。割とすんなり「では5.5掛けでこちらも卸しましょう
」と通ります。

問屋としては「売上げがゼロ」になるよりは「利益率が下がってもこの顧客を維持したい」ので、交渉が成立するのです。

ぷぅ
繰り返しになりますが、これは「奥の手」です。信頼関係を構築する前の段階では、すぐに「じゃあ、サヨナラ」となってしまうでしょう。

6.番外編 「小さな問屋」

大きな問屋と小さな問屋どちらがいいか?

大きな問屋と小さな問屋、どちらが良いと思いますか?

ぷぅ
私は「小さな問屋」が良いと思い
ます。

理由は、

小さな問屋のメリット
  • 個人や小企業を相手にしてくれる
  • 問屋の営業担当者と近い存在でいら
    れる
  • 相手も必死に買ってくれる人を探している
  • 価格の決定権を担当者が持っている(
    もしくは、上司と近い)
  • 電話が気楽にできる
などがあります。一方、一次問屋を含め大きな問屋は、

大きな問屋のデメリット
  • 小さな小売りはそもそも相手にしてくれない
  • 営業担当者と顔を合わせることもない
  • 掛率交渉しても「社内基準でムリ」で終了
  • 発注ロットが多い などで門前払いです。
数人、数十人規模の問屋さんは、なにかと融通が利いて交渉にも応じてくれるので、「長く付き合う」楽しみがあります。